広野を駆け抜け、乱世を生きろ !! 【天地を喰らう2 諸葛孔明伝】
「三国志」。これほどまでに著名な歴史物語も数少ないのではないだろうか。
群雄割拠、幾万もの武将が織り成す壮大なる群像劇は今なお多くの人々の興味を引き付け、かつての情景に対し様々な思いを馳せるのである。
さてそのような三国志だが、ことその入り口となると人それぞれ。
吉川英治の小説、横山光輝の漫画、光栄の歴史シミュレーションゲームとまぁ、有名なものといえばこんなところだろう。
特に横山三国志は学校の図書館における鉄板中の鉄板なのではないだろうか(笑)。
かくいう筆者はどうだったかというと、CAPCOMから1991年に発売されたファミリーコンピュータ用RPG【天地を喰らう2 諸葛孔明伝】が三国志デビューという、もしかしたら異端かもしれない入り方をしたのである。
という事で、その当時を懐かしみながらゲームを回顧していこう。
肝心のゲームとしてはオーソドックスなRPGであり、街には武器屋や道具屋、宿屋などがあり、フィールドに出れば敵が出現。
敵の内容は盗賊や山賊、敵軍の一般兵士から名うての武将までと幅広く、当然ながら異形のモンスターなんかは(ほとんど)存在しない。
通常RPGおけるHPは文字通りキャラクターの体力を表しているものが大半であるが、本作では兵士数=キャラのHPとなっているため、物語終盤ともなるとザコ敵でさえ1グループの兵士数が最大で5000人、それが最大5グループで出現する都合上、合計20000人以上にも達する敵軍がひっきりなしにエンカウントするという、普通に考えてかなりシュールな光景が繰り広げられたりするのがこのゲームの日常。
……まぁそれはまだ全然いいんだが、いくらゲームとはいえさすがに郭嘉や荀彧、徐晃、典韋といった名だたる名将がザコ敵として何度もエンカウントしてはパーティーの経験値として処理されてしまうのは魏将好きな筆者からすればなんだかなぁと……。
そう、タイトルから見てわかるように本作の主役は劉備(蜀)軍、並びに諸葛亮にスポットライトをあてたいわゆる「三国志演義」を題材としたゲームとなっており、作中に登場する魏は中・終盤における最大の敵として描かれている。で、一方の呉はというと……
全編通してほぼ空気である。前作ではそれなりに出番があったのだが(※下記参照)どうしてこうなった……。
大まかなストーリーの流れとしては
・袁術を討伐して
秘儀・連環の計。ちなみに呉が登場するのはほぼこのシーンのみ。
・荊州を平定して
・益州を平定して入蜀を果たし
・漢中を攻略して漢中王を名乗り
・そのまま北伐を開始し、曹操を倒し(!?)
・敵討ちに来た曹丕を返り討ちにし(!?)
・司馬一族を討ち滅ぼして(!?)魏の滅亡、お疲れさまでした
この後エンディング。ゲームなので当然、劉備や五虎大将を始めとする蜀軍の武将は全員(龐統を除いて)存命しております(笑)。
とまぁ、後半はかなりぶっ飛んだ展開となるわけですが(※前作はこれに加えて呉平定のストーリーがあり、孫権を始めとして周瑜や魯粛、陸遜といった呉の名将を次々と打倒していくぶっ飛び展開がある)、そこはやはりゲームという名のif戦記。
「この並行世界における三国志はこうだ!!」というのを存分に見せつけてくれるのでありました。
当たり前ですが、このゲームを基として三国志の物語を学んでしまうと誤りや偏った知識を得てしまう恐れが多大にあるので、あくまで興味を持つきっかけ程度に留めておきましょう(今更そんな人はいないと思いますが)。
でないと、当時の筆者のように「劉備軍最強 !」「曹操ザコ ! 司馬懿ザコ !」「呉なんてシラネ !」なんてことになってしまいますよ(笑)
とそんなわけで駆け足で回顧してきましたが、ファミコン後期に差し掛かる時期に発売されただけあってゲームシステムは洗練されており、RPG部分も特に不満に感じるところもなく、フィールドや大ボス戦といったBGMは名曲として今なおゲーマーからの評価が高い。
総じて名作とよんで差し支えのないゲームだと個人的には思います。
三国志好きの方なら前述したぶっ飛びストーリーをネタ要素として楽しむのもあり、三国志を知らない方でも純粋な名作RPGとして、もし機会があるならぜひ一度プレイしてみてはいかがでしょうか?
古今東西、すべての三国志作品の中でもぶっちぎり最強の姜維や関索は必見です ! (笑)
軍神と称えられる偉大な父に勝るとも劣らない猛将関索。
ちなみに、筆者が一番好きな三国武将は張郃です。
ではまた。